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東京高等裁判所 平成12年(ネ)646号 判決

控訴人

國際航業株式会社

右代表者代表取締役

【A】

右訴訟代理人弁護士

竹田稔

河合弘之

青木秀茂

松村昌人

松尾慎祐

勝田裕子

町田弘香

市村隆行

本山信二郎

船橋茂紀

木下直樹

松井清隆

泊昌之

蓮見和也

被控訴人

日本ゼオン株式会社

右代表者代表取締役

【B】

右訴訟代理人弁護士

松尾和子

田中伸一郎

宮垣聡

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人の請求をいずれも棄却する。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨

第二事案の概要、争点及びこれに関する当事者の主張

本件の事案の概要、争点及びこれに関する当事者の主張は、次のとおり当審における当事者の主張を付加するほかは、原判決の「第二 事案の概要」欄記載のとおりであるから、これを引用する。なお、当裁判所も、「控訴人表示」及び「被控訴人表示」の用語を、原判決の用法に従って用いる。

一  当審における控訴人の主張の要点

1  被控訴人表示の周知性について

(一) 被控訴人の商号である「株式会社日本ゼオン」及び被控訴人表示のうち「日本ゼオン」は、合成ゴム・合成樹脂の製造販売という限られた分野において、取引者にある程度知られているにすぎない。

(二) 原判決は、被控訴人の商号(日本ゼオン株式会社)は、廃棄物処理場、公園等の建設や地盤補強、河川改良、道路舗装等の工事に使用される資材の販売並びにこれに関連する工事の計画及び施工という業務の需要者に対しても、遅くとも平成九年一〇月までに広く知られるようになっており、被控訴人表示(「日本ゼオン」及び「ゼオン」)も、被控訴人の営業表示として右の需要者間に広く知られていると認定しているが、いずれも誤りである。

(1) 原判決は、「ゼオン」の文字が画面に大きく表示されるテレビコマーシャルが放映された事実のみに着目して、徐々に宣伝広告の規模を拡大しているとする。しかし、実際には、右テレビコマーシャルの放映量は、地方テレビ局で週に一回三〇秒、テレビ東京で月に一回放映されている程度であって圧倒的に少なく、需要者が接する可能性が極めて少ないため、右テレビコマーシャルが被控訴人表示の周知性の獲得に寄与したとは到底認めることができないにもかかわらず、原判決は、このことを何ら考慮していない。

(2) 原判決は、被控訴人の事業活動につき、被控訴人が環境関連事業と位置づけている分野に関する話題が、新聞紙上にたびたび取り上げられており、これらの記事の中に、被控訴人を、単に「ゼオン」と表記したものもあるとする。しかし、原判決が平成五年から平成一〇年三月一三日までの間に掲載された被控訴人に関する記事として認定した三〇〇本(訃報を除く)の記事のうち、被控訴人を単に「ゼオン」と表記しているのはわずか一〇本程度にすぎず、そのほとんどが、株式欄や証券記事欄において通常用いられる短縮表示であり、その数量や性質からみて、被控訴人表示の周知性の根拠とすることはできない。

被控訴人は、被控訴人を単に「ゼオン」と表示する新聞記事は、本件訴訟提起後にも多く見られると主張するが、右記事は、本件に関する仮処分申請がなされた平成一〇年四月以降のものであり、被控訴人自身も、被控訴人を「ゼオン」と表示するのは近時のものであることを認めている。このようにいわゆる訴訟対策として仮処分申請後に意図的にその宣伝広告に努めていること自体、「ゼオン」表示に周知性がないことを自認しているに等しい。また、これらの記事は、いずれも株式欄又は証券記事であり、見出し又は記事の冒頭に「日本ゼオン」と表示されたうえで、記事中に「ゼオン」と記載されているのであり、記事のスペースの関係から略称されているにすぎず、このことは、「ゼオン」の表示のみでは、企業としての識別力がないことを示すものである。

(3) 原判決は、被控訴人表示のうち、「ゼオン」は、「日本ゼオン」から、我が国の企業であることを示す「日本」の文字を省いたものであるから、「日本ゼオン」と同様に、被控訴人の営業表示として、需要者の間に広く知られていると認めることができるとする。しかし、「株式会社」の文字は、会社の種類を表すものであることから、これを省略することが認められるとしても、「日本」の文字は、単に我が国の企業であることを示すのみでなく、企業の営業表示として欠くことのできない一部分として、これを含む表示が一体となって認識される場合があり、「株式会社」と同列に解することはできない。現に、商号に「日本」の文字を有する企業は、「日本航空」「日本通運」「日本生命」「日本テレビ」等多数あるが、これらの表示から「日本」の表示をとってしまうと、企業の営業表示としての識別性は失われてしまう。さらに、「日本ロジテム」、「日本ジャンボー」、「日本ユピカ」、「日本アビオニクス」などの社名においては、「日本」を除いた部分は、会社が取り扱う商品やサービスの一般名称とは異なり、かつ造語により構成されているものであるにもかかわらず、これらは「日本」を含む部分を一体として識別力が生じている。

原判決の認定によれば、「ゼオン」は、被控訴人がかつて技術提携していたアメリカ合衆国の会社の塩化ビニル樹脂の商品名というのであるから、「日本ゼオン」は、日本で同商品を製造販売する会社として命名されたものであり、その由来からしても、「日本」の部分は日本とゼオンの文字が一体となって初めて意味のある表示である。

したがって、「ゼオン」は、単に「日本」の文字を省いたにすぎないものとはいえず、原判決のような安易な認定は許されない。また、新聞報道等で「ゼオン」の三文字のみで表記される場合があることを周知性の根拠とすることは、その露出数量や性質を全く考慮していない点で失当である。さらに、被控訴人の商品名の一部に「ゼオン」が用いられている事実も、その販売量が全く明らかでないことから、周知性の根拠とはならない。

2  被控訴人表示と控訴人表示との類似性について

(一) 控訴人表示「アーゼオン」は、片仮名五文字が同一の書体により、同一の大きさで、各文字の間隔も同一に配列されており、「アーゼオン」との四音の称呼を生ずるにすぎないから、この表示に接した取引者・需要者は、当然に、これを一体のものとして認識する。加えて、語頭音(冒頭音)である「アー」は、長音を含む母音で、通常、アクセントが置かれて発音される語句である(控訴人も、「アー」にアクセントを置いて発音してきたものである。なお、控訴人が被控訴人との和解交渉において、「アーゼオン」の「アーセオン」への変更に応じなかったのは、被控訴人表示と類似せず、被控訴人の請求には理由がなく要求に応じる必要がないと考えたためであり、「アーゼオン」のアクセントが「ゼ」にあるから変更しないと述べたことはない。)。

これに対し、「ゼオン」の表示は、片仮名三文字を一体に構成した表示であって、「ゼオン」の三音の称呼のみを生じるものであり、「アーゼオン」とは語頭音を全く異にしている。

このような場合、取引者・需要者は、両表示を、その読み方呼び方において聴き誤ることはなく、類似のものとして受け取ることはありえない。

最近の特許庁の審決及び高等裁判所の判例も同旨の判断を明確に示している。

(二) 原判決は、控訴人表示が一続きのものとして称呼されるのが通常であるとの正しい認定をしながら、冒頭の「アー」が長音であるので、冒頭の音が長音でない「アゼオン」を称呼する場合との比較において、必ずしも常に「アーゼオン」が完全に一体として称呼されるということはできず、「アー」の後でいったん区切られて称呼される余地があるということができると認定している。しかし、右認定は、同一の大きさ、同一の書体で間隔も同じに配列され、わずか四音からなる短い言葉で称呼される「アーゼオン」について、何らの具体的根拠も示すことなく、区切られて称呼される余地があるという誤った認定をしたものであって、重大な誤りがあり、「ノービゲン」と「ビゲン」の類否に関する東京高等裁判所の判決(東京高等裁判所平成七年一一月二二日判決・知的財産権関係民事・行政裁判例集二七巻四号八五五頁参照)の認定判断にも明らかに反する。原判決認定の需要者や需要者に成り得る顧客層に、例外的にせよ「アー」と「ゼオン」が区切られて称呼されているという事実も証拠もない。また、右認定は「称呼される余地がある」という単なる可能性を述べたにすぎず、このような例外的な可能性の存否を称呼の決定の判断に持ち込むことは、「自然的称呼決定の基準」(発音がいくつか考えられる場合は、最も普通に発音されるいわゆる自然的称呼によって類否が判断されるのが原則であるという基準)にも反する。

また、原判決は、「アーゼオン」が日本語としてそれ自体意味を有しない言葉であることからすると、有意な日本語として定着しているアーチェリー、アーケードなどを称呼する場合と同列に論ずることはできず、「アー」の後で区切られて称呼される可能性があるとする。しかし、「アーゼオン」自体が意味のない言葉であるとしても、そのためになぜ「アー」の後で区切られて称呼される可能性があるというのか、根拠が不明である。原判決のように区切った場合、区切られた「アー」と「ゼオン」がそれぞれ有意な語となるのならともかく、いずれも有意でない語であるのだから、このように区切る必然性はない。

さらに、原判決は、通常の場合には「ア」の音の有無により聞いた者の印象が相当程度異なってくることを認めているにもかかわらず、称呼の決定にあたっては、このような通常の称呼(自然的称呼)を理由なく安易に排除し、控訴人表示が「アー」と「ゼオン」に区切られ、かつ、「ゼ」の部分にアクセントを置いて称呼される場合がありうるという例外的な可能性を根拠の一つにあげている。しかし、前者については、前記のとおり、根拠のない前提に立ち、かつ称呼決定の基本原則に反している。また、後者についても、アンケートの調査対象の三分の二弱の者が「アー」にアクセントを置いている事実を軽視しているうえ、アクセントの位置には「アー」と「ゼ」の両用の称呼のされ方があると認定しながら、称呼決定の根拠としては、「ゼ」の部分にアクセントを置いて称呼される場合がありうることのみを上げており、恣意的である。

原判決は、被控訴人表示の周知性をも根拠として挙げるが、被控訴人表示及び「ゼオン」表示のいずれも周知性を欠くことは前記のとおりである。

原判決は、控訴人表示の中で「ゼ」の音が極めて重要な意義を有し、称呼上の特徴を形成していることが明らかであるとするが、その根拠とした証拠(乙第三一号証)は、もともと、「EARTH」と「EON」の合成語である「EARTHEON」を全体としてどう読むのが好ましいかを確定する段階において、全体の語感として濁音を有する「アーゼオン」の方が、「アーセオン」よりもインパクト等が強いと述べているにすぎず、これを、控訴人表示の中で「ゼ」の音が極めて重要な意義を有するとの認定の根拠とすることはできない。仮に、控訴人表示の中で「ゼ」の音が極めて重要な意義を有するものだとしても、そのことは控訴人表示が一体として表示されないという根拠にはならず、控訴人表示の称呼上の特徴的部分を「ゼオン」の部分であるとする原判決の論理には明らかな飛躍がある。

原判決は、「日本ゼオン」との営業表示を聞いた者の注意を引く部分は「ゼオン」であり、控訴人表示が被控訴人表示に類似することから、控訴人表示は被控訴人表示のうちの「日本ゼオン」にも称呼上類似する旨主張するが、前提となる「日本ゼオン」のうちの「日本」が我が国の企業を示す用語であって特別の顕著性を有しないとの認定が誤りであることは前記のとおりであるうえ、仮に「ゼオン」と解しても、前記の「アーゼオン」と「ゼオン」は称呼上類似しないから、原判決の認定には理由がない。

(三) ちなみに、控訴人は、「EARTHEON」と「アーゼオン」とを二段に表記してなる商標について商標登録出願をし、被控訴人が「日本ゼオン」及び「ゼオン」の登録商標につき商標権を有するのと重複する指定役務に関して、商標登録の査定を受けており、この事実は、控訴人の主張を裏付けるものである。

3  営業主体の混同について

(一) 原判決は、①被控訴人表示と控訴人表示とが類似していること、②被控訴人と控訴人とがその業務分野において一部競合する部分があり、顧客となりうる層が共通していることの二点をもって、控訴人がその営業表示として「アーゼオン」を使用した場合に被控訴人の営業と混同が生じ得るものと判断している。しかし、需要者の特性等個別具体的な事情を考慮することなく、表示の類似性及び業務分野の重複の要件のみで混同の有無を判断することは誤りである。

すなわち、表示の類似の程度があまり高くない場合には、その業務分野の重複程度がかなりの程度に達していたとしても、通常は、需要者間に混同を生じさせないと考えるのが自然であるし、表示の類似性が問題なく認められる場合であっても、その業務分野の重複程度がごく一部に限られる場合には、通常は、需要者間に混同を生じさせないと考えるのが相当である。表示の類似の程度があまり高くない場合で、その業務分野の重複程度がごく一部に限られる場合には、右事実から直ちに混同のおそれを肯定することはできない。

本件では、①表示の類似性は存在しないし、②その業務分野も法律上、設計と施工として判然と区別されるものであるから、右各要件の適用の前提を欠く。仮に類似性を肯定したとしても、本件は、何の問題もなく類似性が認定された事案ではなく類似性の程度は低いこと、業務分野の重複の程度がごく一部にすぎないと認定された事案であって重複程度は低いことを考慮すると、右事実から直ちに混同のおそれを肯定することは誤りである。

(二) 混同の有無の判断は、具体的需要者の特性に即して個別具体的に決定されなければならない。本件において混同が発生するか否かを判断する際の具体的基準者は、主婦学生等の消費者一般人ではなく、一部上場企業等有力企業ないしは官庁・自治体である。すなわち、控訴人は、官公庁から約八割の受注を受けており、民間企業における取引先は東京ガス、東京電力、NTTデータ通信、新日鉄などであり、被控訴人の取引先は、仕入先として、三菱商事、三井物産等、販売先として伊藤忠商事、三菱商事、ニチメンなどである。これら需要者は、時間をかけて、事業実体、株主構成、取引銀行、資本系列などについて事前に徹底的な調査をしたうえで契約ないし発注に至るという慎重な取引者である。これらの官公庁や上場企業等有力企業が、仮に名称の類似性があったとしても、何らの調査もせずに、控訴人が被控訴人のグループ企業である等の誤解混同をして、大型のプロジェクト等を発注するおそれなどは全く想定できない。実際にも、控訴人が「アーゼオン」の名称を使用することを決定公表してから二年が経過しているが、被控訴人の需要者である上場企業等有力企業が、控訴人を被控訴人のグループ企業と誤解混同して契約を締結した事例等はもちろん、そのような問い合わせすら一件も存在しない。

被控訴人は、エンドユーザーも需要者の範囲に含めて考えるべきである旨主張する。しかし、ここにいうエンドユーザーが被控訴人の商品たる施設を利用する最終使用者の意味であるとすれば、そのような使用者を含める合理的な理由は存在しない。

(三) 控訴人が「アーゼオン」という通称の使用開始を決定したのは平成九年一〇月一日であるから、それ以降の時期に被控訴人が環境関連事業に力を注いでいるとの報道がされたとしても、それは、被控訴人が訴訟対策として行ったマスコミへの情報提供に基づくものと考えられるものであり、原判決のように、これを営業主体の混同が生じる根拠とするのは、誤りというべきである。

4  営業上の利益の侵害のおそれについて

原判決は、①表示の周知性、②表示の類似性、③混同があれば、特段の事情のない限り、④営業上の利益を侵害されるおそれがあると結論付けているが、これは、④の要件が法律上独立の要件として定められていることを事実上無意味にするものである。仮に右の考え方を採用することができるとしても、本件においては、前記のとおり、表示の類似性及び業務分野の重複の程度は極めて弱いので、右の考え方は当てはまらない。

5  損害額について

信用毀損による無形の損害とは、経済的信用が低下することをいう。本件において、控訴人が「アーゼオン」という営業表示を使用したことにより需要者に「日本ゼオン」ないし「ゼオン」なる表示と混同を生じていないことは前記のとおりであるから、これにより被控訴人の社会的評価が低下した事実は存在しない。しかるに、原判決は、このような具体的事案に即した検討をすることなく安易に信用毀損による無形損害を認めたものであるから誤っている。

二  当審における被控訴人の主張の要点

1  被控訴人表示の周知性について

(一) 被控訴人表示は、合成ゴム、合成樹脂の製造販売の分野に限らず、廃棄物処理、公園等の建設や地盤補強、河川改良、道路舗装などの工事に使用される資材の販売並びにこれに関連する工事の計画及び施工という業務についても広く宣伝広告され、また、新聞、雑誌により紹介され、遅くとも平成九年一〇月までに広く知られるようになっていたものであり、原判決の認定に誤りはない。

(二) 控訴人は、「ゼオン」の文字が画面に大きく表示されるテレビコマーシャルの放映量が少ないと指摘し、被控訴人表示の周知性の獲得に寄与したとは認められない旨主張する。しかし、平成七年から、テレビ局により、週一回あるいは月一回であれ、「ゼオン」を大きく表示したテレビコマーシャルが放映されてきたことは事実であり、これを見た需要者に、「ゼオン」を強く印象付けたとみるのが合理的である。これらのテレビコマーシャルは、被控訴人が行った宣伝広告活動のすべてというわけではなく、その一部に過ぎないものであるから、これだけに着目すべきものではない。右テレビコマーシャルは、他の媒体での宣伝広告活動と相俟って、被控訴人につき「ゼオン」としての強い印象を与えたものと考えられる。被控訴人のテレビコマーシャルの露出量が少ないとの指摘は根拠がない。

(三) 被控訴人は、平成七年に、「ゼオン」の三文字を自社を表示する際に強調する広報活動方針を採用し、被控訴人を「ゼオン」として認識させるように企図して、宣伝広告活動を行ってきた。平成一〇年四月から同一二年三月までの二年間に、少なくとも四四本の新聞記事において、被控訴人を「ゼオン」と表示し、または、被控訴人とその子会社をまとめて「ゼオングループ」と表示しており、被控訴人を単に「ゼオン」として表示する傾向が、特に近時において強くなっており、周知性は更に高まっている。控訴人は、「ゼオン」の表示のほとんどが株式欄や証券記事欄において通常用いられる短縮表示である旨主張するが、株式や証券の欄とは関係のない記事も多数ある。

(四) 控訴人は、日本は、単に我が国の企業であることを示すのみならず、企業の営業表示として欠くことのできない一部分として日本を含む表示が一体となって識別力を有し、認識される場合もあるとして、「日本航空」等の例を挙げている。しかし、これらの例は、いずれも、「日本」を除いた部分はこれらの会社が取り扱う商品やサービスの一般名称を示すものであるから、「日本」を除いた場合に識別力を持たないのは当然である。これに対し、被控訴人表示である「日本ゼオン」から「日本」を除去した残りである「ゼオン」は、サービスや商品の一般名称を示すものではなく、それ自体が十分に識別力を有する語である点で、右の例とは異なる。現に、新聞の株式欄には、「日本航空」を「日航」、「日本通運」を「日通」等と「日本」を示す部分を残した略称が用いられている。これに対し、「日本ゼオン」が「ゼオン」と表示されているのは、まさに「ゼオン」のみで十分な識別力を有し、現に、被控訴人が「ゼオン」として知られてきたからにほかならない。

2  控訴人表示と被控訴人表示との類似性について

(一) 控訴人は、控訴人表示の「アー」は、長音を含む母音であって、通常アクセントが置かれて発音される語句である旨主張するが、「アーゼオン」を自然に発音したとき、「ゼ」の音にアクセントが生じ、聴く者に強い印象を与えることは争いようのない事実である。控訴人が本件訴訟の提起に先立つ当事者間の交渉及び仮処分手続における和解において、「アーセオン」に変更するとの和解案を拒否して「アーゼオン」に固執したことは、「アーゼオン」を自然に読んだ場合のアクセントが「ゼ」にあることを示すものである。

(二) 被控訴人表示である「日本ゼオン」のうち、聞く者の注意を引く部分は、「ゼオン」の個所であり、また、控訴人表示である「アーゼオン」でも同様に「ゼオン」の個所が注意を喚起する個所であるから、両者が類似するとした原判決は正当である。

3  営業主体の混同について

(一) 被控訴人のように様々な業務を子会社を通じて多角的に行っている者の表示について、いわゆる広義の混同の有無の認定をするに際しては、対比される両表示が類似しており、かつ、表示の両主体の業務分野に、実際に重複があるか、あるいは重複の可能性があるかすれば、混同を認定するのが当然である。控訴人が主張するような厳密な意味での混同が生じていることを要求するのでは、不正競争防止法による適正な表示の保護が図られないことになるという、極めて不当な結論になる。

(二) 控訴人は、控訴人表示と被控訴人表示との類似の程度は低く、かつ、両者の業務分野の重複の程度も低い旨主張する。しかし、実際に両者の表示が類似し、両者の業務分野が実際に一部重複していれば、営業主体の混同が生じるのは当然であって、控訴人の主張は、抽象的な理屈にすぎない。また、特に環境分野においては、被控訴人は、より積極的に業務を展開しており、これらの分野における業務の重複が今後更に大きくなっていくことは、明らかである。このような被控訴人の業務展開は新聞でも広く取り上げられ、平成一〇年四月から平成一二年三月までの間に各紙に被控訴人が環境関連事業に力を注いでいる旨の記事が掲載されている。これによって、被控訴人の環境関連事業への業務展開は、需要者に更に広く知られるようになっており、需要者の間に控訴人と被控訴人との営業主体の混同を生じるおそれはますます大きくなっている。

(三) 混同の判断にある程度の具体性を伴うべきことについては、異論がない。しかし、その程度をあまり厳格に解するのでは、結局、実際に混同が発生しない限り不正競争防止法の保護を受けられないことに帰し、同法により不正競争の防止を図る趣旨が没却されることになる。

需要者の範囲としては、現在の直接的な取引先のみならず、将来の取引先及びエンドユーザーも含めて考えるべきである。被控訴人のように多角的な事業展開を進めている事業者との間の広義の混同が問題になる事案では、控訴人の事業と被控訴人との間に人的、物的、経営的に何らかの関連性があると合理的に認識されれば、混同として十分というべきである。「アーゼオン」の名称の下に控訴人によって行われる環境関連事業が、被控訴人の新しい事業であるとの印象を、被控訴人が製造販売した環境関連製品であるゴミ焼却装置、排水処理装置、公園トイレ、廃プラ製遊具などのユーザーやこれらの商品について被控訴人の取引先に成り得る者に対して与えるものであれば、被控訴人表示と被控訴人の営業についての強い結びつきを希釈化し、混同を惹起することになる。

(四) 控訴人は、本件の需要者は、有力企業、事業者であって、取引先について時間をかけて調査したうえ、契約・発注に至るから、広義の混同すら生じるおそれはない旨主張する。しかし、本件における需要者がいかなる調査を経て控訴人又は被控訴人と取引関係に入るかは、一様ではないと思われる。この点は別にしても、需要者の範囲は、控訴人のいう直接の取引先等に限定されるわけではなく、さまざまな規模や業態の事業主体との取引関係があり得る。したがって、一部につき、控訴人が主張するような調査を常に経てはじめて取引関係に入る例があるとしても、こういった例を前提にして、混同の有無を判断することには、合理性もなければ、現実性もない。

4  営業上の利益の侵害のおそれについて

(一) 原判決が、被控訴人表示の周知性、控訴人表示が被控訴人表示に類似していること、控訴人表示の使用が混同を生じさせることを根拠に、特段の事情がない限り、被控訴人は営業上の利益を侵害されるおそれがあると認定したことは、経験則に照らし極めて妥当である。

(二) 控訴人は、本件においては、控訴人表示と被控訴人表示との類似性及び業務の重複の程度が低いことを前提に、このことを根拠として原判決の右認定を非難する。しかし、実際に一部重複した業務を行っている者の間で、一方が他方の営業表示に類似する営業表示を使用すれば、需要者の間に営業主体の混同を生じるおそれがあり、そうであれば、被控訴人の営業上の利益を侵害するおそれがあるというのは不正競争防止法の解釈として自然なものである。

5  損害額について

被控訴人表示が周知であること、控訴人が被控訴人の要求を無視して被控訴人表示に類似する表示の使用を強行したこと、控訴人も被控訴人もともに全国的に事業を展開していることなどを勘案すれば、被控訴人は、控訴人による控訴人表示の使用によって、少なくとも二〇〇万円程度の信用毀損による無形の損害を被ったと考えるのは当然であり、このような原判決の認定に誤りはない。

第三当裁判所の判断

当裁判所も、被控訴人の本訴請求は、原判決の認容した限度で理由があると判断する。その理由は、次のとおり付加するほかは、原判決の事実及び理由の「第三 争点に対する判断」欄記載のとおりであるから、これを引用する。

なお、控訴人は、原判決三四頁四行目ないし六行目の「これらの記事の中には、原告を単に「ゼオン」と表記したものもある。(甲四七の2ないし8,四八、四九、八二ないし八八)」との認定につき、掲記の証拠中には被控訴人を単に「ゼオン」と表記したものではないものがあるとして、原判決に証拠評価の誤りがある旨主張する(控訴人第一準備書面三頁一〇行ないし四頁六行)が、失当である。原判決掲記の右各証拠が、その直前の一文のみでなく、これを含む項目全体(原判決第三の一の5)の認定のための証拠として掲げられたものであることは、原判決の記載に照らし明らかであるからである。

一  被控訴人表示の周知性について

1  前記引用に係る原判決第三の一1ないし5の認定事実によれば、被控訴人の商号及び被控訴人表示(「日本ゼオン」及び「ゼオン」)は、遅くとも控訴人が控訴人表示の使用を開始した平成九年一〇月までには、その主要業務である合成樹脂及び合成ゴムの製造販売に関する業務の取引者・需要者(取引先である総合商社や被控訴人製造の合成樹脂等を素材として使用する製造業者)の間に周知であるのみならず、廃棄物処理場、公園等の建設や地盤補強、河川改良、道路舗装等の工事に使用される資材の販売並びにこれに関連する工事の計画及び施工の業務の取引者・需要者(多数の地方公共団体や公社、公団その他の公的機関、電力会社、鉄道会社等の大企業、ゴルフ場やスキー場の開発業者等)に対しても、周知になっていたものということができる。

そして、前示原判決認定の事実を前提にしてなお、その後、右事情が変化したと考えさせる資料は、本件全証拠を検討しても見いだすことができず、むしろ、甲第一二六号証によれば、平成一〇年四月から平成一二年三月までの間に少なくとも四四本の新聞記事において、被控訴人を「ゼオン」等と表示する新聞記事が掲載されたことが認められるから、被控訴人表示の周知性は、その後も継続して存在して本件口頭弁論終結時に至っているということができる。

2  控訴人は、前記原判決認定事実のうち、テレビコマーシャルの放映量が週一回ないし月一回と圧倒的に少ないこと、新聞記事のほとんどが株式欄や証券記事において通常みられる短縮表示であり、「ゼオン」と表記した記事がわずかであることを理由に、これらが被控訴人表示の周知性獲得に寄与したものとは認められない旨主張する。

しかし、放映量が少ないとはいえ、被控訴人表示がテレビコマーシャルにより定期的に繰り返し放映され、あるいは、被控訴人表示を表記した新聞記事が、その内容いかんにかかわらず、多数掲載されることにより、取引者・需要者がこれに接し、これによって被控訴人表示の周知性が向上したとみるべきことは、むしろ当然である。右テレビコマーシャルや新聞記事が周知性の獲得に寄与していないとの主張は失当である。

3  控訴人は、「日本ゼオン」の日本の文字は、企業の営業表示として欠くことのできない一部分であって省略することは許されない旨主張し、その根拠として、「日本」の文字を含む複数の商号を挙げる。

しかし、控訴人の挙げる例のうち、「日本航空」、「日本通運」等は「日本」を除く部分が商品やサービス等を表す一般名称であるがゆえに、「日本」が営業表示の欠くことのできない一部分となっていると考えることのできるものであるから、「日本」を除く部分が造語である「日本ゼオン」について論ずる際の例としては不適切である。また、「日本」と造語を組み合わせた商号として控訴人が挙げる「日本ロジテム」、「日本ユピカ」、「日本アビオニクス」等の商号が、「日本」を含む全体の形においてのみ識別力を生じていることは、本件全証拠によっても認めることができない。控訴人の主張は失当である。

二  被控訴人表示と控訴人表示との類似性について

1  控訴人は、控訴人表示「アーゼオン」は、取引者・需要者に当然に一体のものとして認識される旨主張する。

しかしながら、「アーゼオン」は新しい造語であり、日本語としてそれ自体意味を有する言葉として定着しているものではないこと、「アーゼオン」という語自体に、視覚上あるいは聴覚上、一体のものとしてしか把握され得ない、という性質を認めることはできないこと、前記のとおり、「ゼオン」が被控訴人の表示として周知性を有していることを併せ考慮すると、「アーゼオン」の表示に接した取引者・需要者の中には、同表示に含まれる「ゼオン」の部分に注目する者が少なくないものというべきである。控訴人の右主張は失当である。

右によれば、控訴人表示と被控訴人表示とは、いずれも「ゼオン」の表示が取引者・需要者の注意を引く点において共通しているから、類似性があるものと認められる。

2  控訴人は、原判決が、控訴人表示につき「アー」の後でいったん区切られて称呼される余地があるとしたことは誤りである旨主張する。

しかしながら、「アーゼオン」の語は、造語であって、それ自体意味を有する言葉として定着しているものではないこと、「アーゼオン」という語自体に、視覚上、聴覚上、一体のものとしてしか把握され得ない、という性質を認め得ないことは前述のとおりである以上、これに接した者が、一体のものとして理解しそのように称呼することなく、途中で区切られたものとして理解しそのように称呼するという可能性を否定することはできないはずであり、このような可能性が現実のものとなる否かは、接した者が既に有している条件によって決まることというべきである。格別なことがなければ、「アーゼオン」程度の長さの言葉であれば一体のものとして把握し、そのように称呼するであろう(そして、このことは、「ア」の部分にアクセントを置くか、「ゼ」の部分にアクセントを置くかには、ほとんど関係のないことである。)。しかし、その者が、何らかの理由により、途中で区切って把握すべき条件を与えられている場合には、区切って把握し、把握したところに従って称呼することになるであろう。そして、「ゼオン」が被控訴人の表示として周知であることは前述のとおりであるから、「アーゼオン」に接する者の中には、「ゼオン」を既存の概念として、これを前提に接する者も少なくないはずである。このような者にとって、「アーゼオン」に接したとき、まず「ゼオン」に注意が向くことはごく自然なことであるから(視覚に関しては、「アーゼオン」の「ー」が「ア」と「ゼオン」を分けるハイフンのような印象を与えることもこれを助長するであろう。)、このような者が、これとその前の「アー」とを区切って把握し、この把握に従って称呼することは十分にあり得ることというべきである。

控訴人の右主張は失当である。

したがって、控訴人表示と被控訴人表示が称呼において類似しているとした原判決の判断に誤りはない。

3  控訴人は、「EARTHEON」と「アーゼオン」とを二段に表記してなる商標について、被控訴人が「日本ゼオン」及び「ゼオン」の登録商標につき商標権を有するのと重複する指定役務に関して、商標登録の査定を受けたことを、控訴人表示と被控訴人表示の非類似性の根拠として主張する。しかし、右事実は、事柄の性質上、本件における表示の類似性についての判断を左右する力を有するものではないというべきである。

三  営業主体の混同について

1  控訴人は、控訴人表示と被控訴人表示とが類似しておらず、両者の業務分野も重複していないとして、類似性や業務分野の重複を根拠に営業の混同のおそれを肯定した原判決の判断は誤りである旨主張する。しかし、右両表示が類似していること及び両者の業務分野が重複する部分があることは、原判決及び前記一で説示のとおりであるから、右主張はその前提を欠き失当である。

2  控訴人は、本件において営業主体の混同が発生するか否かを判断する際の具体的基準者は、一部上場企業等有力企業ないしは官庁、自治体であり、これら需要者は、時間をかけて、事業実体、株主構成、取引銀行、資本系列などについて、事前に徹底的な調査をしたうえで契約ないし発注に至るという慎重な取引者であるから、名称の類似性があったとしても、混同を生じるおそれはない旨主張する。

確かに、混同の有無の判断は、具体的取引者・需要者の特性に応じて、個別具体的に決定されなければならないことはもちろんである。しかし、控訴人及び被控訴人の行う取引は企業活動として将来にわたって継続的に行われるものであるから、その営業上の表示の混同の有無の判断にあたっては、今後新たに取引関係に入ることが想定される、いわゆる潜在的顧客も、需要者として考慮に入れるべきである。控訴人の主張が、現に取引関係にある取引先のみを基準にすべきであり、将来の取引先を考慮すべきでないとの趣旨であるとすれば、そのような見解は採用できない。このような観点にたった場合、控訴人及び被控訴人と今後取引をしようとする者がすべて控訴人のいうような慎重な取引先であると断定することはできず、原判決がその第三の一1ないし6で認定する事実の下では、むしろ様々な規模や業態の取引先が生ずることが予想されるところであり、このような者が、控訴人表示と被控訴人表示の類似性により、営業主体の混同をきたすおそれがあることは十分に認められるものというべきである。控訴人の主張は採用できない。

また、控訴人表示は、現に取引関係にある取引先についても、仮にそれらがすべて控訴人主張のように慎重な者であったとしても、混同を生じさせるものというべきである。控訴人が、被控訴人表示として周知の「ゼオン」と類似する「アーゼオン」の表示を用いたことにより、「ゼオン」といえば被控訴人の表示であると認識していた取引先に、「アーゼオン」が被控訴人ないしこれと関係のある者の表示であるのではないかと考えさせ、この点についての調査確認を要する事態を生じさせることが十分に考えられるからである。確かに、控訴人主張のように慎重な取引先については、最終的に営業主体を誤認したまま取引成立に至る可能性は少ないであろう。しかし、混同を生じさせるというためには、誤解を生じさせ、これに基づいた取引を現に成立させることまでは必要でなく、前記のような調査確認を要する事態を生じさせること自体も、混同を生じさせるものに該当するとするのが、営業表示の特定の者を示す機能を損ない、取引秩序を混乱させる行為の防止を目的とする不正競争防止法の解釈として、合理的であるというべきである。

四  営業上の利益の侵害のおそれについて

前記一ないし三のとおり、被控訴人表示が需要者の間に周知であり、控訴人表示がこれに類似しており、控訴人が控訴人表示を使用する行為が営業の主体につき混同を生じさせるものであることが認められる以上、控訴人がその営業に控訴人表示を使用すれば特段の事情のない限り、被控訴人はその営業上の利益を侵害されるおそれがあると解するのが相当であり(最高裁判所第三小法廷昭和五六年一〇月一三日判決・民集三五巻七号一一二九頁参照)、これと見解を異にする控訴人の主張は失当である。控訴人は、表示の類似性及び業務分野の重複の程度が極めて弱い旨を特段の事情として主張するが、本件において表示の類似性が弱いとすることはできず、また、業務の分野の重複の程度が小さいことを右特段の事情に当たるとすることもできないから、右主張も採用できない。

五  損害額について

控訴人は、信用毀損による無形損害とは経済的信用が低下することをいい、本件においては、控訴人が控訴人表示を使用したことによって、これと被控訴人表示との混同が生じておらず、被控訴人の経済的信用は低下していないから、無形損害の発生は認められない旨主張する。

しかし、控訴人が周知の表示である被控訴人表示と類似する控訴人表示「アーゼオン」を使用する行為が、取引先に、「アーゼオン」が被控訴人ないしこれと関係のある者の表示であるのではないかと考えさせ、この点についての調査確認を要する事態を生じさせること等により、営業の主体に混同を生じさせるものであることは前記説示のとおりである。そして、右のような事態自体が、被控訴人の経済的信用を低下させるものであることは、論ずるまでもないというべきである。また、控訴人が、控訴人表示の使用を決定し、パンフレット、従業員の名刺等やインターネットのホームページに記載したり、新聞に広告を掲載したりすることによって、控訴人表示が広く普及するよう努めたこと、控訴人が、控訴人表示につき、商号登記(仮登記)をするとともに、被控訴人が商標権を有する「日本ゼオン」及び「ゼオン」の登録商標と重複する指定役務に関して商標登録の査定を受けたこと、被控訴人が、控訴人が控訴人表示を使用すると発表した直後から、控訴人表示に類似する商号が使用される事態を憂慮して、控訴人に書簡を送付し、担当従業員と面会して、被控訴人表示の使用をやめるよう繰り返し要請したのに対し、控訴人はこれを拒絶したこと、このため、被控訴人は控訴人に対し被控訴人表示の使用の差止めを求める仮処分の申立てを余儀なくされたことが認められることは原判決の述べるとおりである。右によれば、被控訴人は、控訴人が控訴人表示を使用したことによって、経済的信用を毀損され、これにより無形の損害を被ったということができる。控訴人の主張は採用することができない。

第四結論

よって、原判決は相当であるから、本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法六七条、六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山下和明 裁判官 山田知司 裁判官 阿部正幸)

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